独立や自由な働き方を求めた際に、個人事業主とフリーランスはどっちがいいかは、気になるところです。
どちらも自分自身でビジネスを営んでいく必要があるため、自営業と捉えることもできます。
個人事業主とフリーランス、2つの名称を並べると、それぞれの違いを説明できる方も少ないでしょう。
そこで今回は、個人事業主とフリーランスの違いを徹底解説し、どっちがいいかの答えを見つけていきます。
個人事業主とフリーランスのどっちがいいか迷っている方は、ぜひ最後までご覧いただき自分に最適な働き方を見つけましょう。
- 1. フリーランスと個人事業主どっちがいい?それぞれの違いを徹底解説
- 2. フリーランスとは?特徴と働き方
- 3. 個人事業主とは?法的区分と主な特徴
- 4. フリーランスのメリット2つ
- 4.1. 縛られない働き方ができる
- 4.2. 収入の可能性が広がる
- 5. フリーランスのデメリット2つ
- 5.1. 収入の不安定さ
- 5.2. 自己管理の重要性
- 6. 個人事業主のメリット2つ
- 6.1. 青色申告の利用が可能
- 6.2. 屋号での銀行口座開設
- 7. 個人事業主のデメリット2つ
- 7.1. 失業保険の不支給
- 7.2. 社会保険の変化
- 8. 個人事業主とフリーランスはどっちがいい?税金と社会保険の違い
- 8.1. 必要な税金の種類
- 8.2. 健康保険と年金制度
- 8.3. 確定申告の方法
- 9. 個人事業主とフリーランスどっちがいい?手取り年収を会社員と比較
- 10. 個人事業主やフリーランスにおける青色申告と白色申告の違い
- 10.1. 青色申告のポイント
- 10.2. 白色申告のポイント
- 11. 個人事業主とフリーランスどっちがいい?結論名称の違いでどちらも同じ
フリーランスと個人事業主どっちがいい?それぞれの違いを徹底解説
フリーランスとは特定の企業に所属せず、自分のスキルやサービスを提供して生計を立てる働き方のことです。
一方、個人事業主は自ら事業を営む人を指し、大きな違いはありませんが、税金や年金の取り扱いが異なります。
フリーランスも個人事業主も個人で仕事をすることに変わりありませんが、「働き方」と「事業を営んでいる人」という点に違いがあります。
働く方法を見るのか、事業形態を見るのかで表現の仕方が変わってくるのです。
フリーランスのメリットとしては、働く時間や場所を自由に選べることが挙げられます。
これにより、自分のライフスタイルに合わせた柔軟な働き方が可能です。
またフリーランスは、一つのプロジェクトに集中しやすい環境を作り出せます。
一方で、個人事業主としてのメリットは、事業の成長に応じた税金対策ができる点です。
事業収入が増えると、それに応じた税金の計算が必要になりますが、適切な対策を講じることで税負担を軽減することが可能です。
また、年金についても、個人事業主は国民年金に加入することが基本ですが、収入に応じて適切に対応することが求められます。
個人事業主になるためには、開業届を出す必要があります。
フリーランスと個人事業主における違いを理解し、自分にとって最適な働き方を選ぶことが重要です。
フリーランスとは?特徴と働き方
フリーランスとは、特定の企業や組織に属さず、自営業として自身で仕事を受注し、自由な働き方を実現可能です。
フリーランスと自営業の違いはわずかですが、プロジェクトごとに契約を結び、自分のスキルや専門知識を活かして仕事を行います。
大きなメリットとして、働く場所や時間を自由に選べることが挙げられます。
例えば、自宅やカフェ、コワーキングスペースなど、自分が働きやすい環境で仕事を進めることが可能です。
フリーランスは、スケジュール通りに動くために、自己管理能力が求められます。
さらに、フリーランスは収入の面でも多様性があります。
プロジェクトの受注量や単価に応じて収入が変動するため、努力次第で高収入を得ることも可能です。
フリーランスとして成功するためには、自分自身のスキルを常に磨き続け、クライアントとの信頼関係を築くことが重要です。
個人事業主とは?法的区分と主な特徴
個人事業主とは、株式会社や合同会社などの法人を設立せずに、個人で事業を営む者を指します。
法的に見ると、個人事業主は法人とは異なり、事業の責任を全て個人が負う点が特徴です。
そのため、事業の利益や損失は個人の所得として扱われ、確定申告を通じて税金を納める必要があります。
個人事業主になるためには、開業届を提出するだけなので、簡単に事業主となり、「起業」が可能です。
個人事業主の主なメリットとしては、法人設立に比べて手続きが簡単で費用も少なく済む点が挙げられます。
フリーランスや自営業といった形態も個人事業主に含まれます。
ただし、個人事業主は法人に比べて信用力が低いとされ、大規模な取引や融資の際には不利になることが多いです。
また、年金や社会保険、労働保険の手続きや負担も法人とは異なるため注意が必要です。
個人事業主として成功するためには、しっかりとした事業計画の策定や適切な経理管理が重要といえるでしょう。
フリーランスのメリット2つ
フリーランスで働くことには2つのメリットがあります。
フリーランスのメリット
- 縛られない働き方ができる
- 収入の可能性が広がる
縛られない働き方や収入の可能性が広がるという点が大きなメリットとなります。
フリーランスのメリットをそれぞれ詳しく解説するので、ぜひご参考ください。
縛られない働き方ができる
フリーランスとして働く最大のメリットの一つは、自由な働き方ができる点です。
自営業(フリーランス)を選ぶことで、固定された勤務時間や場所に縛られることなく、自分のペースで仕事を進められます。
仕事とプライベートのバランスが取りやすくなり、家事や育児・趣味に費やす時間を確保することが可能です。
さらに、自分の得意分野や興味のある分野に特化した仕事を選べるため、仕事に対するモチベーションも維持できるでしょう。
また、リモートワークの普及により、場所を選ばずに働ける環境が整ってきています。
地方や海外に住みながらでも、都市部と同じような仕事の機会を獲得可能です。
フリーランスは縛られずに自由度の高い働き方ができるため、仕事とプライベートの両立がしやすいでしょう。
収入の可能性が広がる
フリーランスとして働く2つめのメリットは、収入の可能性が広がることです。
会社員とは違い、代表として自分のビジネスを運営すれば、収入は自分の努力次第で大きく増やすことが可能です。
例えば、高いスキルを持つ自営業者は、高額なプロジェクトを手掛けることで、大きな収入を得られます。
また、複数のクライアントと契約することで、収入の分散化も図れます。
会社員では収入が上がりにくいこともありますが、フリーランスでは頑張り次第で収入の可能性が広がるのです。
このように、自営業には収入の可能性が広がるという大きなメリットがあります。
フリーランスのデメリット2つ
フリーランスのデメリットは以下の2つです。
フリーランスのデメリット
- 収入の不安定さ
- 自己管理の重要性
フリーランスのデメリットに挙がっている項目は、「安定面」や「自己管理」となっています。
それぞれの項目を1つずつ解説するので、ぜひご参考ください。
収入の不安定さ
フリーランスのデメリット1つめは、収入の不安定さです。
会社員との違いとして、毎月決まった給与が支給されるわけではなく、プロジェクトの受注状況やクライアントの支払い状況に大きく影響されます。
特に新規プロジェクトの獲得が難しい時期や、クライアントの都合で支払いが遅れる場合、生活費の確保が難しくなることもあります。
このデメリットを解決するためには、しっかりとした資金計画と貯蓄が必要です。
複数のクライアントを持つことで、収入源を分散させることもデメリット解消に向けた有効な方法です。
多くの仕事を確保することで、一部のクライアントからの収入が途絶えた場合でも、他の収入源でカバーすることが可能になります。
また、定期的にスキルアップを図り、新しい仕事の機会を広げることもポイントでしょう。
フリーランスは自分次第で収入を最大化させられますが、一方で不安定というデメリットも隣り合わせとなります。
自己管理の重要性
フリーランスや自営業では法人と違い、すべての管理を自分で行う必要があるため、自己管理能力が不可欠です。
自由な働き方ができる一方で、自分で時間を管理し、計画的なスケジュールを作成する必要があります。
また、自分が働けなれば売り上げを作れなくなるため、健康管理も重要な要素です。
フリーランスは、すべて自分の裁量で行えることから、自己管理が売り上げを安定させるポイントとなるのです。
個人事業主のメリット2つ
個人事業主のメリットは以下の2つです。
個人事業主のメリット
- 青色申告の利用が可能
- 屋号での銀行口座開設
個人事業主のメリットはお金に関わる部分でメリットがあります。
各項目1つずつ解説するので、ぜひご覧ください。
青色申告の利用が可能
個人事業主のメリットの1つに、青色申告の利用ができることが挙げられます。
青色申告は、個人事業主や自営業者が利用できる税制上の特典の一つです。
個人事業主は、確定申告の際に青色申告を選ぶことで、税金の計算において多くのメリットが得られ、節税効果が期待できます。
一番の魅力は、青色申告特別控除として最大65万円の控除が受けられる点です。
また、赤字が出た場合には、その赤字を3年間繰り越して翌年以降の所得と相殺することが可能です。
これにより、事業が安定しない初期段階でも、税金の負担を軽減させられます。
さらに、家族を従業員として雇用する場合の給与も経費として計上できるため、家族経営の事業においても有利に働くでしょう。
起業して個人事業主としてのメリットを最大限生かすには、確定申告時に青色申告がおすすめです。
屋号での銀行口座開設
個人事業主は、屋号での銀行口座が開設できるメリットがあります。
個人名義の口座と違い、屋号名義の口座を持つことでビジネス上の取引を明確に区分することができ、経費管理や収入の把握が容易になります。
税金の申告や支払いが効率化され、確定申告時の書類作成もスムーズです。
さらに、屋号名義の口座を持つことで、取引先や顧客に対しても好印象を与えることができ、ビジネスの信頼性向上につながります。
屋号での銀行口座開設は、ビジネスを始める際の一つのステップとして、成長と効率化に役立つでしょう。
個人事業主のデメリット2つ
個人事業主のデメリット2つは以下の通りです。
個人事業主のデメリット
- 失業保険の不支給
- 社会保険の変化
個人事業主として起業する前に、デメリットも把握しておきましょう。
失業保険の不支給
個人事業主のデメリット1つ目は、失業保険の不支給です。
前職が会社員として勤めており、起業し個人事業主として働く場合、失業保険の支給対象外となります。
個人事業主が自らの意思で事業を運営しているためであり、失業という概念が適用されないからです。
会社員の場合、雇用保険に加入しているため、会社都合や自己都合で退職した場合に失業保険が支給されます。
しかし、個人事業主は雇用保険に加入することができず、そのため失業保険を受け取る権利がありません。
社会保険の変化
個人事業主やフリーランスとして働く際、社会保険の取り扱いは会社員とは大きく違うことがデメリット2つ目です。
フリーランスや個人事業主は自ら国民健康保険や国民年金に加入する必要があります。
このため、保険料の支払いは全て自己負担となり、会社員のように企業が一部を負担してくれることはありません。
しかし、フリーランスや個人事業主でも加入できる団体保険や小規模企業共済といった制度が整備されています。
個人事業主やフリーランスが、将来の不安を軽減できる選択肢が増えてきていることは、嬉しい情報でしょう。
良い情報はあるにしても、社会保険の変化を十分に理解し、万が一の際に対応できるようにしておくことが大切です。
個人事業主とフリーランスはどっちがいい?税金と社会保険の違い
個人事業主とフリーランスにおける税金や社会保険の違いを以下の項目に沿って解説します。
解説項目
- 必要な税金の種類
- 健康保険と年金制度
- 確定申告の方法
事業を営む際は、上記項目についても正確に理解しておく必要があります。
それぞれ1つずつ解説するので、ぜひご覧ください。
必要な税金の種類
個人事業主やフリーランスとして活動する際には、必要な税金の種類を把握しておくことが大切です。
税金の種類 | 税金の内容 |
---|---|
所得税 | 年間の所得に基づいて課税され、確定申告を通じて支払う |
消費税 | 商品やサービスを提供した際に発生し、年間の売上が1000万円※を超えると課税対象。 ※インボイス登録事業者は売上問わず課税対象 |
住民税 | 前年の所得に基づいて自治体に支払う税金 |
事業税 | 事業所得に対して課税され、事業所得金額が290万円を超えると支払いが発生 |
固定資産税 | 土地や建物などの固定資産に対して課せられる税金 |
必要な税金を適切に理解し、期限内に納付するよう資金繰りが必要です。
健康保険と年金制度
個人事業主やフリーランスによって、健康保険や年金制度についての違いはありません。
どちらも、同じように手続きして支払いが必要です。
会社員であれば、健康保険や厚生年金の手続きは会社が一括して行い、保険料の一部を負担してくれます。
一方で、個人事業主やフリーランスの場合、健康保険と年金制度について、自分で手続きを行い、保険料を全額負担しなければなりません。
健康保険については、国民健康保険と任意継続被保険者制度の2つの選択肢があります。
年金制度については、基本的に国民年金に加入することになりますが、収入に応じて国民年金基金やiDeCo(個人型確定拠出年金)も検討する価値があるでしょう。
健康保険と年金制度の選択は、一見複雑に感じるかもしれませんが、一度理解してしまえば、そのメリットを最大限に活用できます。
最適な判断をできるように、まずは健康保険と年金制度について調査しましょう。
確定申告の方法
個人事業主やフリーランスの確定申告は、自分で行うか税理士や会計士に任せるか選択できます。
また、白色申告か青色申告なのかによって申告方法が異なります。
白色申告か青色申告どちらを選択しても、個人事業主とフリーランスで申告方法に違いはありません。
年間分の売り上げや経費を整理する必要があるため、多くの時間を要する方もいることでしょう。
費用対効果のバランスから、税理士や会計士に頼むことも視野に入れることがおすすめです。
個人事業主とフリーランスで確定申告の方法に差はないため、どっちがいいと優劣を決める必要はないでしょう。
個人事業主とフリーランスどっちがいい?手取り年収を会社員と比較
個人事業主とフリーランス・会社員の手取り年収を簡単に比較していきます。
年収や事業所得が400万円の場合
- 会社員:約315万円
- 個人事業主:約320万円
- フリーランス:約320万円
会社員と個人事業主・フリーランスで、受け取れる手取り年収に大きな違いはありません。
個人事業主やフリーランスでは、安定性に乏しいなどのリスクの面で考えるのであれば、会社員の方が優位性は高いといえます。
今回紹介した数値は、一例であり、実際の手取り額は経費や控除、税率などにより異なることを理解しておきましょう。
しかし収入を増やせられる可能性としては、個人事業主やフリーランスの方が高いといえます。
個人事業主やフリーランスにおける青色申告と白色申告の違い
個人事業主やフリーランスにおける青色申告と白色申告の違いと選び方を紹介します。
申告書についての解説
- 青色申告のポイント
- 白色申告のポイント
それぞれのポイントを紹介するので、個人事業主やフリーランスを検討している方は、ぜひご覧ください。
青色申告のポイント
個人事業主やフリーランスの方は、青色申告にすることで、税務上の大きなメリットを受けられます。
帳簿では、正確な収入と支出の記録が求められますが、記録内容をクリアできれば、最大65万円の税務控除が受けられます。
個人事業主やフリーランスの方が、青色申告特別控除で65万円控除を受けられると、税務負担を大幅に軽減できるでしょう。
ご自身で行うのが難しい場合は、税理士や会計士に相談もおすすめです。
白色申告のポイント
個人事業主やフリーランスの方が白色申告を選ぶことで、経理処理が楽になり、ご自身でも簡単に確定申告を済ませられます。
青色申告と比較して帳簿付けがシンプルなので、忙しい方でも合間を縫って確定申告を行えます。
しかし、税制面でのメリットはありません。
そのため、年間の事業所得が少ない方は白色申告、ある程度の収益が見込める方は青色申告を選択する方もいることでしょう。
事業所得の金額に関係なく、税制面の優遇を得られる青色申告の方が手間はかかりますが、メリット多いといえます。
個人事業主とフリーランスどっちがいい?結論名称の違いでどちらも同じ
結論として個人事業主とフリーランスでは、名称が違うだけでどちらも同じ扱いです。
個人事業主は事業形態を意味し、フリーランスは働き方を表します。
どっちがいい?という問いに関しては、どちらも同じという回答が適切です。
個人事業主やフリーランスを検討している方は、本記事を参考にしていただき、起業や運営・経営の準備を行いましょう。